木々の塊としての立体感や樹間にある空気まで描きたいと思い、
実際に現場に通い、数ヶ月かけて描きました
若い頃は描きだしてみたものの、その先はどうなるか分からないという程不安定だった描写法も、これもどうやら安定し「様式」「方法」と状態が整ってきた、と考えています。
私もようやく、これから、と感じています。
いよいよ制作一筋に励むとき、と思っています。
いつの時代の画家も、多くの場合、絵画において最も難しいのはグレーを使いこなすことだということを知っている。そして高嶋公康のデッサンにおいて第一に指摘したいのは、鉛筆によって得られる彼の非常に美しいグレーである。
アングルが「デッサンは芸術の誠である」と言ったのは有名だ。しかし、彼にとってそれは常に色をのせる為であった。
彼はデッサンの中に理想的な表現方法を見出し、彼のグレーの階調は、色を使わずして、彼の豊潤な造形的想像力をディテールに至るまで描き出すことが可能なのである。
彼のデッサンは、竹林を吹く風のポートレートも、モデルの心理の内奥にまで迫った肖像画も、真の絵画である。
これほどの才能と、霊感をもって扱われる鉛筆は、インクや水彩の淡彩画よりも鮮やかに、生物の最も神秘的な側面、物質の最も奥深くにある側面を見せてくれる。