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サロン・ドトーヌ展報告

「2019 サロン・ドトーヌ」 展覧会報告

2019年の黒のファサードに今年のテーマカラー緑が映える

シャルル・ドゴール像

「サロン・ドトーヌ2019」
会期:2019年10月9日(水)~13日(日)
会場:シャンゼリゼ通り 
   コンコルド~プティ・パレ(フランス パリ)
主催:サロン・ドトーヌ協会
2019年10月9日(水)〜10月13日(日)シャンゼリゼ通りに116回を数える歴史的サロン「サロン・ドトーヌ」が開幕。多くの来場者、メディア、各国来賓で連日賑わいをみせ、同月13日(日)に惜しまれながら閉幕した。
サロン・ドトーヌ オープニング

世界中の作家たちが年に1度再会する「現代アーティストの家」サロン・ドトーヌが、今年もここにその偉容を現した。

パリの地下鉄1番線シャンゼリゼ=クレマンソー駅から地上に上がるとシャルル・ドゴール像が出迎える。
シャンゼリゼ大通り、グラン・パレ、プチ・パレ、エリゼ宮と、フランスの政治、芸術、文化の中心地は平素から大勢の観光客で賑う。耳に飛び込んでくる英語、アラビア語、スペイン語、中国語。列になって歩く校外授業の子供たちのフランス語。
澄み渡る秋空の下、193cmの体躯で「自由フランス」を率い闊歩する第18代フランス大統領像越しに、プラタナスの並木道、黒のファサードに、「サロン・ドトーヌ2019」のシンボルカラーである濃緑が浮かび上がる。
世界中の作家たちが年に1度再会する「現代アーティストの家」サロン・ドトーヌが、今年もここにその偉容を現した。
  • シャンゼリゼからコンコルド駅まで伸びるパビリオン

  • 国内外の現役作家によって研鑽された800点超の作品が並んだ

10月9日(水)15時、開場に先駆け、20カ国以上の在仏大使館より特別来賓を迎え、内覧が行われた。パリ日本文化会館から今年も杉浦勉館長が来場。
欧州美術クラブスタッフの案内により、日本作品を興味深く鑑賞された。
国際画壇を舞台に活躍する邦人作家に至極感心された館長より、訪仏中の作家代表団をぜひ同館に招待したいと急遽お申し出を賜った。
  • パリ日本文化会館 杉浦勉館長

  • 日本作品を興味深く鑑賞された

ベルニサージュの開幕
同日18時、ついに開場。作家関係者、芸術愛好家、メディア、ギャラリー関係者が押し寄せ、場内はたちまち熱気に溢れた。

具象、抽象、写真、立体、ミクストメディア、環境アート、デッサン、版画、建築、デジタル部門−−シャンゼリゼ=クレマンソー駅からコンコルド駅まで伸びる広大なパビリオンには、フランス国内外の現役作家によって研鑽された800点超の作品が並んだ。
いずれも堅実なデッサン、確かな技術に支えられ、厳正な審査を通過した作品群が多彩な個性を開花させた。

サロン内で具現化された現代アートの多様性、それと同時に構成力が生み出す厳格さと色彩美の普遍性に、来場者は思わず息を呑んだ。展示ブースの其処彼処では、経験豊かな重鎮作家と若い有望作家が、国籍、年代を問わず、世界共通テーマである「芸術」について尽きることなく議論し、フランスの誇る「サロン」文化の健在を象徴する様子が会期を通して見られた。
  • 熱気に溢れた会場内

  • 日本作家作品を興味深く眺める来館者

また、ル・サロン名誉会長ジャン・マリ・ザッキ氏もベルニサージュに駆けつけ、日本作品をひとつひとつ観覧。
長年、JIAS/欧美の関連展を通じて日本作家作品に精通する氏は、訪れた現地来場者に熱心に解説する場面もあった。

その他、会期を通じて絵画抽象部門長ルグラン・ドゥニ氏、デッサン部門長ブルジュノ・ソフィ女史、絵画部門長ジャン・ベルナール・プシュ氏、同ルフォール・ティエリ氏ほか会員コンヴナン氏、同ミシェル・トパン女史ら現代フランス画壇を支える重鎮作家らも日本作品を鑑賞、本年度の日本作品の質の高さを賞賛した。
以下、ルフォール・ティエリ氏によるコメントを挙げる。

「今年も多くの質の高い作品が本サロンに参加してくれた。日本作品は美しいだけでなく、ディティールへのきめ細やかさで際立っている。仕事への誇り、職人的な忠誠、それが日本的精神性、揺るぎないアイデンティティのひとつであると感じる」
  • ジャン・マリ・ザッキ氏と嬉しい再会

  • 8月に来日されたルグラン・ドゥニ氏との交流

20時過ぎ、イベントブースでは、体調不良により急遽欠席されたシルヴィ・ケクラン会長に代わり、セヴェラク・カトリーヌ副会長がスピーチを代読。大勢の来場者、関係者に謝意を表し、本展開催を祝った。


会期中、受付バックのスクリーンでは、2019年8月国立新美術館にて開催されたJIAS主催「日本フランス現代美術世界展」の展示映像が常時放映。
日本現代作品と共にドトーヌからの参加作品約300点が展示され、多くの来場者を迎えた会場風景や、ケクラン会長、ルグラン・ドゥニ氏(前出)とともにドトーヌから参加した数十名の作家および関係者と、日本作家の交流の様子に、多くの現地来場者は足を止めて見入っていた。
  • ブルジュノ・ソフィー女史とも再会を果たした

  • JIAS主催日本フランス現代美術世界展の映像が常時放映

本年、欧美を介して入選した作家らより12名の作家代表団が訪仏。現地来場者と交流し、ドトーヌ仏会員や各部門プレシデントからも歓迎を受けた。
作家代表団は関連イベントにて交流を深めた
10日(木)、代表団はモンマルトル地区のルフォール・ティエリ氏(前出)のアトリエを訪問。氏のモデル・通訳を務め、舞台女優としても活躍するモード・ボナニ女史に案内された。

同日午後には、前日杉浦館長に招かれたパリ日本文化会館を訪問。エッフェル塔の麓に位置する同館はフランスに向けて文化発信地の役割をにない、頻繁に日本文化講演やワークショップ、コンサートなどのイベントが開催される。応接室で館長に迎えられたあと、直々に館内を案内いただいた。日本の出版物をそろえる図書館、開催中の展示、普段は非公開の茶室なども特別に見せていただいた。

>ティエリ氏のアトリエ訪問報告はこちら
11日(金)、ドトーヌ関係者を囲む夕食会。
今回も、長年ドトーヌ事務局長として尽力されているアニ・ショレ夫妻を迎え、リラックスした雰囲気のなか、時間を忘れて歓談に興じた。

最後に、アニ・ショレ女史が談話のなかで述べられた言葉を下記のとおり掲げる。
「新鮮な感性と確かな技術をった若い作家が、サロン・ドトーヌにも日本作家のなかにも育っていると実感している。また、彼らを経験豊かな既存の重鎮作家が無私的なアドバイスを送り、ひきあげている。それに加えて、サロン・ドトーヌとJIAS/欧美の間で起こる交流のダイナミズムも近年益々盛んになり、双方サロンの発展を確信している」
展示風景(一部)紹介
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