受賞者インタビュー
第17回パリ国際サロン 大賞
郷土の誇る風土性をモチーフにして、伝統的な精神世界を現代に蘇らせたい
熊谷 睦男 「延年の舞・老女Ⅸ」油彩
受賞者インタビュー
- まずは受賞の感想をお聞かせください
- 美術教師の傍ら国内画会に所属して20数年活動を続けましたが、公職勤務等の関係で退会し、公職から解放されたときはすでに齢古希目前となっていました。画会退会から15年ぶりに古希からの再挑戦として欧美国際公募展に出品。
郷土の風土性をモチーフにすべく取材中、現在ユネスコ世界遺産登録に向けて申請中の平泉文化遺産に含まれる毛越寺(もうつうじ)延年の舞と出会いました。
郷土の誇る風土性をモチーフにして、伝統的な精神世界を現代に蘇らせるという途方も無い夢を抱きつつ制作を続けていたのですが、この度5度目にしてその方向性を認めていただいたという思いから、今後のさらなる制作の励みにしたいと思っています。
- 本作品を製作することになったきっかけや、制作時に工夫した点、気を遣った点などあれば、お聞かせ下さい
- 「延年の舞・老女」それは「百歳の長寿に感謝し世界の安寧を祈念する」という平安時代の古から毛越寺に伝承されている国の重要無形民族文化財に指定されている老女の舞です。
中世の単純な舞のポーズの中に潜む平泉文化の普遍的な精神性に魅了されて、藤原三代の理想郷に思いを馳せながら構想しています。
表現の要件としてシンプル・シャープ・フレッシュをモットーに世界の恒久平和を願う浄土思想の宇宙観を曼荼羅等、仏教世界の形象を探求し、それを生かした空間処理に造形的な意味合いを求め模索しながら制作しています。
- これからの展望、今後の抱負、活動予定等を教えて下さい
- どこまでできるか未知数ですが、延年の舞の精神世界の更なる追求を続けていきたいと思います。
あわせて、以前からモチーフにしている郷土の雄大で清新な叙情性豊かな自然の風景を見つめて制作活動を続けていきたいと思います。
熊谷 睦男 プロフィール
所属
元創造美術会会員
JIAS日本国際美術家協会会員
彩光会会長
略歴
1934年 岩手県陸前高田市生まれ
1957年 岩手大学学芸学部甲一類美術一科卒
1966〜1989年 創造美術会所属
2004〜2009年 欧美国際公募美術賞展
(ドイツ・オランダ・ベルギー、スペイン、アメリカ)
日仏現代美術世界展(5年連続出展)
パリ国際サロン(5年連続出展)
ル・サロン(3年連続出展)
受賞歴
1966年 創造展新人賞受賞(会友推挙)
1970年 創造展金賞受賞 (会員推挙)
1977年 岩手県教員美術展藤原賞受賞(最高賞)
1978年 創造展会員賞受賞
1980年 創造展会員賞受賞
2006年 パリ国際サロン ロジェ・ブイヨ賞受賞
2008年 日仏交流150周年記念芸術祭 ル・サロン会長特別賞“グルネル賞”受賞
2009年 パリ国際サロン賞受賞