ル・サロン報告
「2015ル・サロン」 展覧会報告
グランパレの外観
2500人の国際アーティストが一堂に会する「アール・キャピタル」での開催
フランス芸術家協会主催第226回ル・サロン展は、統合サロン「アール・キャピタル」の一環として、11月24日(火)にベルニサージュが行われ、11月25日(水)から29日(日)を一般公開会期として、パリのグランパレにて行われた。
「アール・キャピタル」では、ル・サロン、コンパレゾン、デッサン・水彩サロン、アンデパンダンの4つの歴史的サロンが同時開催され、あわせて2500人もの国際アーティストの作品が一堂に会する。
直前に起こったパリの事件の影響が心配されたものの、通常通りの開催となった。
4サロンの中でも最古の公募展となるル・サロンには、絵画・彫刻・版画・写真・建築各部門合わせて、フランス国内外から650人(内、絵画部門440人、版画部門60人)の実力作家が参加した。
今年度のル・サロンは、特に傑出して全体の質が高いと美術関係者の間でも非常に評判であった。
芸術アカデミーにフォーカスをあてた2015年度ル・サロン
毎年、その長い歴史に関連した企画展スペースを設けるル・サロンだが、今回は、1795年の創立以来フランス最高の国立学術団体であるフランス学士院を構成するアカデミーの1つ、芸術アカデミーにフォーカスをあてた。
ル・サロンと芸術アカデミーの関係は深く、歴代のル・サロン会長にはアカデミー会員が多い。
毎年会期中には、才能豊かで有望なアーティストの活動を支援することを目的に奨励賞を選出する等の活動も行なっている。
赤いパネルの特別スペースには、ル・サロン名誉会長であり、欧美とも馴染みの深い芸術アカデミー永世幹事のアルノー・ドートリーヴ氏の大作が2点紹介され、同氏独特の筆調で描かれる神秘的で上品な女性像が存在感を放っていた。
アルノー・ドートリーヴ氏の作品
ル・サロン展示作品は、傾向とされてきた堅実なデッサン力が重視される具象・半具象絵画に加え、作家の詩情を感じさせる抽象画も見られ、高質な見応えのある展観であった。
また、欧州美術クラブから出品された日本作品は、それぞれ独自の感性が光るバラエティ豊かな作品が揃い、グランパレに集う美術愛好家たちを魅了していた。
世界中から愛好家が集う統合サロン
日本から来仏した作家代表団は11月28日(土)にグランパレを見学。
世界各地の実力作家が結集して今日の芸術を様々な視点から紹介する、ル・サロンをはじめとする歴史的4サロンをじっくり見学し大いに刺激をうけた。
また、昨年に続き2016年も、ル・サロン会長のドゥラルフ女史の「第17回日本フランス・現代美術世界展」への招待出品が決まっており、作品が東京の国立新美術館に紹介される。
ザッキ氏の作品を鑑賞
「アール・キャピタル」は、旬のフランス画壇作家が集う秋の花形サロンとして、今年も不動の存在感を感じさせ、大成功のうちに幕を閉じた。
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