アトリエ訪問レポート
欧州美術クラブでは
「作家各々の概念の幅が広がり」「今後の作品を創るヒントを見出す事ができるように....」
と、作家の無限の可能性を期待し、これまで長年にわたり交流を深めてきた、フランス画壇等の一流作家のアトリエへ訪問をする研修を継続して企画しています。
「国際作家として活躍したい」あなたの創作に生きる環境を作ります。
(右)自身の作品・制作・技法について参加者へ熱心に披露してくださった女史
クリスティーヌ・オベルチュール女史 アトリエ訪問レポート
2015年2015年11月29日「パリ国際サロン」「ル・サロン」を訪れた作家代表団は、ル・サロン役員であるクリスティーヌ・オベルチュール女史(Christine Oberthür)のアトリエを訪問した。
海と花を主要なテーマに据え、パリと出身地ブルターニュを行き来しながら精力的に活動する同女史。
エッフェル塔に近いパリ15区のアトリエには、水彩、油彩、静物画の道具類がきっちりスペースをわけて置かれており、壁一面には過去のサロンに出品した作品が飾られ、創作意欲のくすぐられる空間となっていた
参加者たちは女史の作家としての生き方を肌で感じた
臨場感を大切にする彼女が所持する膨大なクロッキー
海の広大さや動きを感じさせる自由で軽妙なタッチ、光溢れる色彩が印象的な彼女の作品。
水彩ではお馴染みのウィンザー&ニュートンをはじめ、発色の良い日本画の顔彩を好んで使用しており、書道用とみられる日本製の筆も見られた。
油彩ではレンブラントやセヌリエのフランス製の絵の具を愛用。
使用後の筆は念入りに掃除し、最後は必ずマルセイユの石鹸(サボン・ド・マルセイユ。日本でも購入可能)と水道水で洗うとのこと。いつも筆を良い状態に保って制作したいという彼女のこだわりが見えた。
筆は絹筆、豚毛からプラスチックまで、こだわりなく気に入ったものを使用しているとのこと。彼女の自由な感覚で、良いと思うものを積極的に取り入れているようだ。
整理整頓の行き届いた、創作意欲のくすぐられる空間
風景画・生物画にこだわりなく、クロッキーは不可欠
モチーフの臨場感を大切にする彼女は、風景画・静物画でも準備のクロッキーが欠かせないという。
写真も細部の確認には有効であるが、船で海に出るときでさえも、スケッチブックを持参しクロッキーを描くことを大事にしており、明暗のコントラストや印象を確認し、アトリエで本画制作に入るとのことだった。
終始にこやかに、代表団を迎えてくれた女史。
あっという間に時間はすぎ、女史の制作に対する真摯な姿勢を見ることのできた、心温まる訪問であった。
クリスティーヌ・オベルチュール Christine Oberthür
略歴
パリ国立装飾美術学校卒業。
パリ市内のアトリエに通い、主にデュケール氏にデッサン、版画、絵画を師事。
教師として20年間勤めた後は画家としてサロン・ドトーヌ、ル・サロンをはじめとする国内外のサロンに多く出品し、2004年よりル・サロン役員に就任。
海洋や花にインスピレーションを得た油彩画または水彩画が彼女の代名詞であるが、静物画、裸婦像も非常に高い評価をうけている。
現在はパリとブルターニュを拠点に活躍し、画集も多く手がける。
ル・サロン役員。
テイラー財団会員。
1996年パリ市ヴェルメイユ・メダル授賞、
2009年ル・サロン銀賞他 受賞多数。
参加者たちを優しくもてなしてくれた女史
2016年日本・フランス現代美術世界展出品作品