受賞者インタビュー
第18回日本・フランス現代美術世界展2017 大賞:瀬野 清
2017年8月9日(水)から20(日)国立新美術館にて開催された第18回日本・フランス現代美術世界展で大賞を受賞された作家への特別インタビューです
第18回日本・フランス現代美術世界展2017 大賞:瀬野 清
感性のままに表現できる技法を体得していきたい...
大賞:瀬野 清 「父と子」油彩 92.4×73
展覧会風景より
受賞者インタビュー
- まずはこの度の受賞の感想をお聞かせください
- 「父と子」は息子と孫がモデルです。この作品が私にとってメモリアルな作品となり、とても嬉しいです。
- 本作品を製作することになったきっかけや、制作時に工夫した点、気を遣った点などあれば、お聞かせ下さい
- 若い父の膝の上で喜ぶ子どものはち切れそうな笑顔に引きつけられました。その幸せな一瞬を一気に絵にしようと完成させた作品です。特に子どもの表情の表現に力を入れて描きました。
- ご自身の制作の方針はどのようなものでしょうか? また普段の制作において、心がけている事を教えてください。
- 自分の感覚・感性のままに躊躇なく適確に表現することができているか、そして作品全体が迫真性のあるものになっているかということに、制作過程の中でいつも注意をはらっています。
- 近年手掛けているテーマがあればお聞かせください
- 人生の中の日常と社会の中で起こる出来事を並行させつつ、両方のかかわりを追求しています。そのなかで人間としての普遍的なもの、喜び、悲しみ、不安、 怒りといった人間的感情を表現していきたいと思っています。
制作の現場など
- 研究されている技法はありますか?
- どのテーマにおいても 対象の本質的なものに迫れる表現と技法を研究していきたいと思っています。これまで身につけてきた技法・表現力の上に、さらにより新しく感性のままに表現できる技法を体得していきたいと考えています。
- 国内外問わずこれからの展望、今後の抱負を教えてください。
- 毎年、年初めはサロン・ドトーヌの応募手続きからはじまり、ル・サロン、国際美術賞展、日本・フランス現代美術世界展、パリ国際サロンと続きます。これらの展覧会を基軸にし、さらに広げ、一層制作に励んでいきたいと思っています。
- 影響を受けた人、アーティストは?
- 影響を受けた人というより作品としては、レンブラントの自画像、ゴッホのオーベル時代の絵、セザンヌの「サント ヴィクトワール山」 ピカソの子どもや猫の絵、日本では北斎の波の絵、靉光の自画像などです。
ほかにもメキシコ壁画やマコンデ彫刻どれも真に迫ってくるものがあり、深く感動した作品です。
- 「日本・フランス現代美術世界展」に対してひとことお願いします。
- 私にとって特別な展覧会です。
教員時代の教え子(現在、東京在住)からの便りに(原文のまま)「『父と子』の子どもを掴む父親の手に、強張りながらもしっかりと子どもを掴むその右手に自分たちの責任と使命を感じました。」と書かれていました。表現したかったことを感じとってもらえて、とても感激し、貴重な寸評として大事にファイルしています。
瀬野清 略歴・プロフィール
1949 三重県松坂市に生まれる。
1972〜2009 京都府舞鶴市で中学校美術科教員を務める。
2009 退職と同時に制作活動をはじめる
第11回ドローイング・デッサン・版画コンクール ロワリエ賞 銅賞
2010 第12回ドローイング・デッサン・版画コンクール ザッキ賞 金賞
2011 第13回ドローイング・デッサン・版画コンクール ロワリエ賞 銅賞
2013より毎年サロン・ドトーヌに出品
2015 ベルギー・オランダ美術賞展 パリ国際サロン賞
2017 イタリア美術賞展 準大賞
2017 第18回日本・フランス現代美術世界展 大賞受賞