サロン・ドトーヌ展報告
「2022 サロン・ドトーヌ」 展覧会報告
10月後半にしては暖かな日が続いたパリ。北東部19区に位置するパリで最大の公園ラ・ヴィレット内にある「グランド・ホール」の正面には「サロン・ドトーヌ2022」と書かれたピンク色の大看板が掲げられた。例年、シャンゼリゼ通りの特設会場にて開催されていた本展。本年は2024年パリ・オリンピックに向けたパリ市内の改修工事のため、急遽この新たな会場にてパリの秋を彩る作品群を披露することとなった。
6,000㎡の広々とした会場は会期を通じて来場者で賑わをみせた
新会場「ラ・ヴィレット グランド・ホール」
開催概要
第119回「サロン・ドトーヌ2022」
会期:2022年10月20日(木)〜23日(日)
*20日はベルニサージュ
会場:ラ・ヴィレット グランド・ホール
(パリ19区ラ・ヴィレット公園内)
主催:サロン・ドトーヌ協会
「今回、急な会場変更で多少慌ただしさはあったが、文化省の協力で、このようなパリの歴史的、文化的に重要な場所で皆さんの作品を披露できたことを嬉しく思う」とサロン・ドトーヌ ルグラン ドゥニ会長はコメントした。本会場の在るラ・ヴィレット公園は1980年代のパリ再開発計画によって生まれ変わったパリの新しい文化的スポット。
公園内には、科学産業博物館のほか、フィルハーモニー・ドゥ・パリ、シテ・ドゥ・ラ・ミュージックのコンサート施設や劇場、国立高等音楽・舞踊学校や建築学校などの教育施設などがあり、公園中央を走るサン・マルタン運河へと通じる運河沿いにはレストランやブティックが軒を連ねる。楽しそうな学生らの声が響き、広場や遊具には家族ずれが集う。パリで最も大きな公園として、パリ市民の憩いの場である。
10月20日(木)17時 ベルニサージュ
開催を待ちわびた関係者たちで混み合う会場
10月20日(木)、ついに2022年サロン・ドトーヌが開幕。17時からのベルニサージュに向け会場に入ると、黒を基調とした仕切り壁に展覧された約1,000名のアーティスト作品が来場者を迎える。入口正面、会場センターには会場から一段下がった形のステージが位置し、世界から集った個性豊かな作品が、その左右に大きく展開した。
開場直後にはまばらだった来場者は、観覧に没頭している間に気が付けばかなり混み合う様に。新会場での開催を祝いシャンパンを傾ける姿や熱心に美術談義を繰り広げる姿、自身の作品の前で来場者に挨拶を交わすアーティストの姿などがそこかしこで見られた。
ルグラン会長はじめサロン・ドトーヌの役員の方々も、次々と日本作家のブースを訪れ、「とても興味深く、楽しく鑑賞した」など、声をかけていただいた。また、ル・サロン名誉会長ジャン・マリ・ザッキ氏も日本作家作品を観ようと会場へ駆けつけ、一点一点丁寧に鑑賞、来場した日本作家とも言葉を交わした。
開催の挨拶をするサロン・ドトーヌ協会ルグラン ドゥニ会長
ルグラン会長は開催の挨拶において、日本をはじめ遠い国々から応募・出品したアーティストへの感謝の言葉と共に、コロナに負けじと、2022年7月に同協会協賛のもと開催したパリ近郊ランブイエ市における「TOKYO世界展」開催、および長年にわたり同協会特別協賛のもと開催している「日本・フランス現代美術世界展」開催を賛辞。
日本・フランスのアートを介した交流機会を改めて祝うとともに、今後の交流への期待の言葉を述べた。
高さのある天井が開放的な空間を演出する
翌日以降も、会場は多くの来場者で賑わいをみせた。会場のグランド・ホールを覆うように採り入れられたガラス壁面より差し込む自然光が会場内を明るく照らし、高さのある開放的な空間をさらに魅力的に演出する。
中央のステージでは、ダンスや演劇、歌や楽器演奏のコンサートのほか、ファッションショーなどが次々に催され、サロンにさらなる華を添えた。
新会場での開催に「とても素晴らしい会場だった」「シャンゼリゼの特設会場とはまた違った魅力のある会場だった」など、好意的かつ称賛する声が多く聞かれた。
中央のステージでは連日、様々な催しが繰り広げられた
ファッションショーの様子
また、会期を通じて、JIAS/欧美主催「日本・フランス現代美術世界展」に出品経験のある海外アーティストに声をかけられる場面が幾度もあり、ルグラン会長においては、来場した関係者や知人に自ら日本作家作品を紹介いただくなど、長年にわたる日本とフランスのアートによる交流が築いた絆を実感することとなった。
10月23日(日)、未だ多くの来場者で賑わう中、惜しまれながら本年のサロン・ドトーヌは幕を下ろした。集まった関係者からは次回120回の節目となるサロンにおいて、さらに進化した作品と、新たな才能の発掘を心待ちにする声が多く聞かれた。
会場の様子
ラ・ヴィレット公園の様子
Facebookアルバムにて展示風景アルバムのご紹介
出品作品の展示風景がfacebookのアルバムにて多数紹介しています!
こちらからご覧ください→サロン・ドトーヌ2022展覧会風景アルバム