欧美国際公募 美術賞展報告
第51回フィンランド美術賞展 展覧会報告(2019)/ 入賞者一覧
展覧会:「第51回フィンランド美術賞展(2019)」
現地タイトル「“和” Wa Kansainvälinen Japanilaisen taiteen näyttely Alajärvellä」
会期 :2019年5月29日(水)~6月12日(水)
開催地 :フィンランド西スオミ州南ポフヤンマー県アラヤルヴィ市
会場 :ネリマルッカ・ムセオ、ヴィラ・ヴァイノラ、アラヤルヴィ市立図書館
ネリマルッカ・ムセオ
ヴィラ・ヴァイノラ
展覧会会場の紹介
建築家“アルヴァ・アアルトによるアラヤルヴィ市庁舎
美しいアラヤルヴィ湖
周知のとおり開催市アラヤルヴィは、フィンランドを代表する画家“ネリマルッカ”生誕の地であり、画家・都市計画家・デザイナーとしても名を馳せ、20世紀を代表する世界的建築家“アルヴァ・アアルト”が幼少期をすごしたゆかりの地である故、街には2人の巨匠の軌跡ともいえる施設がいくつも点在している。
今回、現代日本作家による多種多様な秀作を迎えるにあたり、市ならびに現地関係者は本展会場として、アアルトが手掛け、ネリマルッカ作品を世界一多く収蔵し、常設展示しているミュージアム「ネリマルッカ・ムセオ」、自身の親族の別荘として築いた最適空間「ヴィラ・ヴァイノラ」、常にこの地に暮らす人々が集う場所として建てられた「アラヤルヴィ市立図書館」の3会場を厳選した。
アアルトが親族の別荘として築いたヴィラ・ヴァイノラ
アアルト建築によるアラヤルヴィ市立図書館
展覧会報告
アアルト設計のアラヤルヴィ市庁舎にて
時代を感じさせないシンプル・モダンな外観をもつ3会場は、それぞれ本来の用途は異なるものの、その内観はデザイン性に富み、そこで時を刻む人々の暮らしに細かく配慮された温かみを感ずるアイデアがそこかしこに施されいる。森、湖、光彩…そして会場。アラヤルヴィの全ては展示作品群をより艶やかに魅せた。
「NEPU代表作家」なども展示紹介された
フィンランドと日本の交流年にふさわしい文化交流が実現
平日にもかかわらず数百名もの来館者が訪れたオープニング
展覧会のために作られたパンフレットなどが配布された
現代日本アート界を担う日本作家らの技法と多種多彩な表現の広がりはフィンランドの人々を魅了し、称賛を博したと現地より報告された。
また、開催地近隣の小学校では本展見学を授業の一環に組み込み、約400名の生徒が日本の現代アートとカルチャーを学んだ。
日本のカルチャーを紹介するイベントも同時に開催
会場付近では、本展のイメージロゴ看板に加え日本文化が紹介された
日本とフィンランド外交樹立100周年認定イベント
展覧会オープニングイベント
挨拶をするアルキオ・エリナ女史
コイヴネン・ヴェサ市長
オープニング・セレモニー
レセプションでは数百名を数える来場者、現地メディア、美術関係者から熱烈な歓迎を受けた。アラヤルヴィ市長による歓迎の挨拶の後、東京に居を構えるフィンランドセンターよりライブ映像にて、同センター所長アンナ=マリア・ヴィルヤネン女史により祝辞が贈られた。
フィンランド式、挨拶と挨拶の間に女の子4人による穏やかな楽器演奏がなされ、和やかな雰囲気の中、最後に欧美/JIAS代表馬郡文平が開催までに尽力いただいた関係者各位に御礼の辞を述べた。
東京フィンランドセンター ヴィルヤネン所長の祝辞がライブ配信
デモンストレーション
会場内にあるカフェテリアでは、作家代表団有志により抹茶とお菓子が振舞われ、日本文化のもてなしに和気藹々とした雰囲気が自然と生まれ、両国の異文化交流をより揺るぎないものとした。
栗原光峰女史による書のデモンストレーション
作家代表団有志によるティーセレモニー
作家へ行われた寸評会
作家たちへのウェルカム昼食会
アトリエ訪問、講演会
地元アーティストフォルスティ女史のアトリエを訪問
また、同日、市より欧美に要請いただいた「浮世絵」「現代日本建築」をテーマとした講演会を展示会場のひとつネリマルッカ・ムセオで開催。
両会とも用意した席は全て埋まり、日本文化への興味、関心の高さが改めて示された。
美しい風景が臨めるアトリエ
小学校にて行われたワークショップ
全校生徒による歓迎を受ける作家たち
特別授業として2時間にわたり3クラス100名程の生徒に「折り紙」「書」のワークショップ型授業を行った。
中には本展現地関係者らも混じり、真剣な面持ちで筆をもつ姿も垣間見れた。
いずれのイベントでも老若男女、来場者は日本の芸術文化に触れながら作家代表団との交流を楽しんだ。
折り紙のワークショップ
書のワークショップ
日本らしいモチーフや彩色の配置や対照、そこから生まれる深みはたいへんに興味深いものがあった。また、各作家が趣向をこらし、それぞれが特徴的な技法をつかっている様や、馴染みのない日本固有の表現などはどのように解釈すべきか…本当に難しく、改めて奥深さを痛感した。
特に文字を表現した書など見慣れない作品ではあったが、そこに表された勢いや白と黒のコントラストなど普遍的な美を感じずにはいられなかった。
本展作品はいずれも素晴らしい!
来場者全てを代表して、日本の現代アートを体感できたことに心より感謝申し上げたい。
アルキオ・エリナ
フォルスティ・エリナ
展覧会を終えて
40名を超える作家代表団がその地を訪れたことは、同市にとってはたいへん大きな出来事でした。
市民のみならずフィンランド全域から多くの人々が日本の文化と現代芸術に触れた事はもちろん、
今後ますます日本-フィンランド交流の発展に期待を寄せ、本展関係者を代表し、コイブネン市長は全出品作家と作品に敬意と感謝の意を表し、我々に寄り添い、常に配慮してくださいましたことを、この場を借りて、皆様にご報告いたします。
特に開催イベントの様子は本展公式facebookし市のfacebookにてリアルタイムで写真や動画が掲載・報道され、多くの反響の声を頂いたと報告が届いております。一部ではございますが、以下にインターネットアドレスを記載いたします。
○地元ニュース動画:
facebookにて本展の展示風景アルバムもご覧いただけます。
○公式facebook:https://www.facebook.com/pg/CAEAJapan/photos/?tab=album&album_id=463916894162601
○English report is here
第51回フィンランド美術賞展 入賞者
大賞
大賞:峯 恵悟「地球の鼓動が聞こえる場所」ミクストメディア 45.5×53
準大賞
準大賞:篠原 文子「大山初冬」油彩 80.3×100
準大賞:横山 弥生 「Barcelona#4」ミクストメディア 59×42
パリ国際サロン賞
パリ国際サロン賞:早川 ふみ代「秘密基地」板に石膏・油彩・テンペラ 42.5×35
前田 恂「新天地を求めて」 水彩 51.5×39.5
優秀賞
優秀賞:阿部 朱華羅「腕輪「虹の龍神」」
工芸・金工 15×7×80
aya ogawa 「Blue Moon」
ハンドメイドセラミクス 23.5×16×25
船田 春光「La rime du ciel 天国の律べ」
装芸画 80×100
白游「哲」、
墨刻古代文字アート 139×69
片野 栄子「雪の街」、
木版画 25×50
栗原 光峰「佛 −Buddha−」、
創作書 137.5×69.2
才田 祥子「W-00022」、
アクリル 53×53
鮫島 悦生「万福」、
工芸・薩摩切子 23×23×43
《審査員》
アルキオ・エリナ(美術賞展現地総指揮官)
フォルスティ・エリナ(現地アーティストを代表して)
現地美術関係者
馬郡 文平(欧美/JIAS代表 審査アドバイザーとして参加)