エコール絵画研修報告
2013年はフランス北東部シャンパーニュ・アルデンヌ地方オーヴ県ヴィルノクス市での開催
のどかで美しい風景が続く。サン・ジャック-ディヴァル教会
天国と呼ばれる美しい風景が作家の創作意欲を刺激
ヴィルノクスは欧美創立者の馬郡俊文がジャン・マリ・ザッキ氏と美術雑誌編集長のパトリス・ド・ラ・ペリエール氏と共に、「いつかここで絵画研修を」と温めていた町である。
今回の研修は、ヴィルノクス市長であるクリストフ・ダム氏を中心に、市の全面的な協力を得ての開催となり、今回の研修の拠点として、歴史的建造物であるサン・ジャック−ディヴァル教会が用意され、研修作家達はその周辺を拠点として制作を行った。
どこを切り取っても絵になる風景を描く
色とりどりの花が咲き、穏やかな小川が流れる
少し坂をのぼれば街が見下ろせる
フランス画壇の第1線で活躍するプロ画家であるジャン・マリ・ザッキ氏とエルベ・ロワリエ氏を講師として迎えるエコール研修は、和やかな雰囲気でスタートした。
拠点となったディヴァル周辺は地元の人々に「Paradis(パラディ/ 天国、楽園の意味)」と親しみをこめて呼ばれており、ところどころに色とりどりの花が咲き、穏やかな小川が流れ、少し坂をのぼればシャンパンを作る葡萄畑、どこを切り取っても絵になる風景が多く、絵を描くにはまさに「楽園」であった。
のどかな街に可愛らしい建築の家が並ぶ
それぞれが描きたい対象を自由に探す
ロワリエ氏の経験と技術を惜しみなく指導
どんな状況にも合わせて指導するロワリエ氏
研修はロワリエ氏の指導からスタート。研修を通して天候は
晴天とはいかなかったものの、雨天の場合でも制作できるように配慮したロワリエ氏が、サン・ジャック教会に静物画のモチーフを数セット設置し、教会の内部が日本作家のアトリエとなった。
また、ロワリエ氏自ら、静物画と教会内部を描くデモンストレーションを行い、参加作家たちはそのテクニックを熱心に見入っていた。
ロワリエ氏によるデモンストレーション披露
サン・ジャック教会内がアトリエとなった
ザッキ氏の熱意溢れる指導による新たな発見
時には自ら筆をとっての直接指導を行う
ザッキ氏は一人一人を丁寧に見てまわり、時には自ら筆をとっての直接指導を行う。
長年に渡る経験と技術に加え、「絵は楽しんで描くもの」と自由に画面をつくりだすザッキ氏の指導もまた、参加作家達の糧になったことだろう。
長年の経験を活かしたザッキ氏らしい指導を受ける研修参加者
「絵は楽しんで描くもの」とザッキ氏
制作中に近所の人が差し入れをもって教会にやってきたり、小さな町ならではの温かい交流も印象的だった。
市からも歓迎された欧美ならではの深い交流
研修最終日28日には、ザッキ氏、ロワリエ氏、ペリエール氏による寸評会、夕方にはダム市長主催により、研修作家の作品を発表する展覧会がセレモニーを兼ねて行われた。展覧会には多くの町民が訪れ、遠い日本から来た作家によって自分たちのよく知る風景が絵画となり展示されるのを感慨深げに眺めていた。
また、市長より参加作家全員に称賛と敬意を込めて、ヴィルノクス市より公式な参加証が手渡され、研修は盛大なフィナーレを迎えた。
1週間という短い期間ながら終始笑顔が溢れ、内容的にも非常に濃い研修となった。来年2014年度エコール研修は再びザッキ、ロワリエ氏を迎えてパリでの開催が予定されている。