ル・サロン報告
「2022ル・サロン」展覧会報告(第232回)
新たに会場となったパリ、グラン・パレ・エフェメール
2月15日(水)、本年の「ル・サロン2022」が無事、第232回を迎えた。フランス芸術家協会が主催する本展(ル・サロン)は、例年、コンパレゾン、デッサン・水彩サロン、アンデパンダンとの統合サロン「アール・キャピタル」として6日間にわたり開催されるが、昨年は、新型コロナウイルス感染拡大により不催行という選択を余儀なくされた。
今年は、まるでその悔しさを力に変えたと言わんばかりに、開催初日には、出品者や美術関係者など、その扉が再び開く日を待ち望んでいた9千人を超える人々が列をなし、新たに会場となった、エッフェル塔を臨むパリ、グラン・パレ・エフェメールに迎えられた。
2022年アフタームービー
開催概要
展覧会:「第232回 ル・サロン2022」
会期:2022年2月15日(火)~20日(日) *15日はベルニサージュ
会場:パリ グラン・パレ・エフェメール(シャンド・マルス公園)
主催:フランス芸術家協会
昨年の悔しさを力に変えたと言わんばかりに、9千人を超える人々が列をなした本年
久しぶりの再会を喜ぶ美術愛好家たちが集った
長年にわたり本展の会場を担っていたグラン・パレは2024年のパリ・オリンピックに向け改修工事に入り、今回展よりグラン・パレ・エフェメールがその大役を継いだ。
昨年6月にした落成した本会場は、パリのシンボル、エッフェル塔のあるシャンド・マルス公園の南東側、パリ万国博覧会に所縁のある歴史的な場所に建つ。
設計を手掛けたフランスの建築家ジャン-ミシェル ウィルモ氏は、トウヒの木製アーチと透明な生地に覆われた環境に配慮した建物を実現した。
その見事に演出された外壁にはエッフェル塔や歴史ある陸軍士官学校が映し出され、来場者は入場前からパリの風景絵画を展覧しながら、会場入口へと向かう。
開場外には入場を待ち望む長蛇の列ができていた
ジャン-ミシェル ウィルモ氏建築による木製アーチが美しい会場
手荷物検査を済ませ、場内に足を踏み入れると、すぐに「ル・サロン」の展示エリアが始まる。
柱を一切使用していない内装が会場に開放感を与え、落ち着いた色合いの展示エリアには、世界中から寄せられた応募の中から厳しい審査を通過した19ヵ国650名を超えるアーティストの作品が表現豊かに広がる。
会場のそこかしこでは、この歴史と威厳あるサロンへの出品に満面の笑みで記念写真を撮るアーティスト、久しぶりの再会を喜び美術談議に華を咲かせる美術愛好家の姿も見られた。
本展主催のフランス芸術家協会マドレーヌ ブルノー会長も笑顔で我々を迎えてくれた。
「ル・サロン」の展示エリア入口
ル・サロン会長 マドレーヌ ブルノー氏も笑顔で我々を迎えてくれた
ジャン・マリ・ザッキ氏もベルニサージュに来場
日本作家作品をひとつひとつじっくりと観覧した
また、同協会の名誉会長であり、長年にわたり欧州美術クラブおよびJIAS日本国際美術家協会と共に日本作家の国際画壇進出に尽力いただいているジャン・マリ・ザッキ氏もベルニサージュに来場。日本作家作品全てをひとつひとつじっくりと観覧いただいた。未だ不安定な世界情勢により渡仏も叶わぬ方が多い中、日本の出品作家の皆さまに会場の様子を伝えたいと、メッセージを預かった。
「皆さんの作品は、新会場グラン・パレ・エフェメールに華々しくデビューをし、その色彩はたいへん美しく映えて展覧されています。皆さんの作品がこうして会場に並んでいること、本当にうれしく思います。長年出品を続けているアーティスト、受賞歴のあるアーティスト、そして初めて出品するアーティスト。様々いらっしゃいますが、すべての作品、そのひとつひとつが本当に素晴らしい。たくさんのパリの愛好家が皆さんの作品に魅せられています。私もそのひとり、皆さんの作品に出会えてとても幸せです。」
この伝統的なアートの祭典は、会期を通じ約3万人を迎え大成功のうちに惜しまれながら閉幕した
翌日からの一般会期も連日多くの来場者で賑わった2022年の「ル・サロン」。
会期中には、主催協会の公式SNS上で、伝統と未来永劫つづくであろう本サロンの象徴として、1849年から変わることのない、かつて審査員を務めたドラクロワやコロと同様に、挙手をする賞審査の様子が公開された。
また、公式ホームページでは、昨年の不催行により2年間の空白の時期を経ての開催となった今回展について、マドレーヌ会長は開催前に
「今回のル・サロンが人生における芸術的欲求を叶える場となり、そして同時に逆境に屈しない私たちの能力を示す場とならなくてはならない」
と発信、サロンの成功をもって、この強い意志を体現した。
すべての人々に開かれたこの伝統的なアートの祭典は、会期を通じ約3万人を迎え、フランスはもちろん世界のアーティストに、芸術拠点を成すパリでアートを愛する人々やコレクターとの貴重な出会いの場を提供するという目的を見事に果たし、大成功のうちに惜しまれながら閉幕した。
最後に、会期中に行われた賞審査にて、私どもを介して出品した獅子堀 開氏が見事、銅賞を受賞した旨も合わせて報告する。
1名が銅賞を受賞!
獅子堀 開 「Honfleurの昼下がり」水墨 90.9×121.7
獅子堀 開氏が見事【銅賞】を受賞。
「ル・サロン2020」にて欧州美術クラブより出品の獅子堀 開氏が「銅賞」を授賞。
実績と歴史を持つパリの老舗サロンの評価は、国際作家として認められた証です。
受賞者は既にフランス芸術家協会(ル・サロン)公式サイト「ル・サロン2022」受賞者一覧(Palmarès et médailles)内に名前が掲出されております。
*フランス芸術家協会(ル・サロン)公式サイト
会期中に委員により選出された受賞者はプレートと共に紹介される
2名が『MENTION』に選出!
桃山 三 MOMOYAMA Soo
「因」ミクストメディア 79.0×99.0田中 進 TANAKA Susumu
「冬色 - 越前大野城」油彩 72.7×91.0
2019年に続き本年も欧州美術クラブを介して出品した作家より2名が『MENTION』に選出された旨、連絡をうけた。
MENTIONは以下の2が授与された
桃山 三 MOMOYAMA Soo
田中 進 TANAKA Susumu
*メンションとは、今後の入賞(金・銀・銅・優秀賞)候補として、ル・サロンを運営するフランス芸術家協会(ル・サロン事務局)が認識した旨を表する奨励賞の位置付け。
既にフランス芸術家協会(ル・サロン)公式サイト「ル・サロン2022」受賞者一覧(Palmarès et médailles)内に名前が掲出。
*フランス芸術家協会(ル・サロン)公式サイト
Facebookアルバムより展示風景が見られます